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書名:安倍改憲と自治体 人権保障・民主主義縮減への抵抗
編著者:小沢隆一・榊原秀訓、他
出版:自治体研究社(2014年5月第1刷)
《目次》
はしがき (小沢隆一・榊原秀訓)
/日本国憲法の最大の危機/本書のねらい/
【第1部 安倍改憲と統治構造の改編】
第1章 安倍改憲と地方自治の改編 (小沢隆一・榊原秀訓)
一 安倍改憲の歴史的位置と全体像 (小沢隆一)
1- 1990年代—改憲の動きと新自由主義の結合
2- 2000年代—現行憲法と自衛隊海外派兵の矛盾の深化
3- 2012年12月—安倍改憲の再起動
二 改憲、地方自治の「憲法化」と道州制 (榊原秀訓)
1- 改憲実態にある地方自治と地方自治の危機
2- 1999年地方自治の「憲法化」としての憲法改正草案
3- 憲法改正草案における自治体統治機構と住民自治
4- 導入されようとしている道州制推進基本法の内容
5- 「国と地方の役割分担」と新自由主義
第2章 安倍改憲と統治機構「改革」 (小沢隆一)
一 はじめに
1- 統治機構「改革」に関する三つの視角
2- 明文改憲・立法改憲・解釈改憲の相互関係
二 安倍改憲路線の憲法認識
1- 立憲主義は絶対王権時代の遺物?
2- 憲法解釈の変更を閣議決定で行うことの愚
三 強権的な政治運営を可能とする統治機構の改編
四 新自由主義的財政運営を志向する財政条項の「改正」
五 財政健全化に必須の選挙制度の民主的改革
六 新自由主義改憲への注意を
第3章 秘密保護法と地方自治体・地方公務員 (清水雅彦)
はじめに
一 秘密保護法の内容と問題点
1- 軍事立法、治安立法としての秘密保護法
2- 秘密保護法の問題点
3- 強引な制定をどう考えるか
二 秘密保護法と地方自治体・地方公務員の関係
1- 有識者会議報告書での提案内容
2- 特定秘密の指定で警察庁に統制される都道府県警察
3- 特定秘密の提供から除外される地方自治体
4- 適正評価の対象となる都道府県警察職員
5- 適正評価によって得られた個人情報の利用
三 秘密保護法を取り巻く昨今の国家主義政策の中で
1- 共通番号制度
2- 国家安全保障会議
3- 自民党の国家安全保障基本法案
4- 自民党の憲法改正草案
5- 前面に出る国家主義
おわりに
第4章 公務員制度改革 (尾林芳匡)
はじめに
一 安倍政権の公務員制度の基本方針
1- 自由民主党の「日本国憲法改正草案」にみる公務員像
2- 安倍政権の公務員制度改革の基本方針
二 二〇一四年国家公務員制度改革
1- 2014年国家公務員制度改革関連法
2- 2014年国家公務員制度改革関連法の問題点
三 二〇一四年地方公務員制度改革
1- 2014年改正地方公務員制度改革関連法
2- 地方自治体における能力・実績主義
四 「行政改革」のなかの分限免職
1- 「行政改革」のなかの旧社会保険庁解体
2- 地方自治体の民営化と職員の分限免職
3- 「道州制」と公務員の身分保障
五 公務員給与削減
1- 国家公務員給与削減
{・・・2011年の民主党政権下ではさらに、東日本大震災も口実の一つとして「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」で2011年人事院勧告により俸給月額を平均0.23%減額した上、二年間にわたり、月例給与について4.77~9.77%、一時金について9.77%減額した。2012年11月には退職手当を15%削減する退職手当法改正を、民主党のみならず自民党・公明党の協力を得て成立させた。・・・
・・・憲法適合性への批判もあり、2013年11月15日の閣議決定は、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」による給与減額措置について、期限が切れる2014年3月末日をもって終了することを決定している。}
2- 地方自治体の動向
3- 人件費抑制
六 公務員の政治的行為の自由
1- 政治的行為処罰と最高裁無罪判決
{国家公務員法と人事院規則は政治的行為を刑罰をもって禁止しているが、最高裁で初めての無罪判決が下され、猿払事件判決が実質的に変更されたところである。
この判決は、表現の自由(憲法21条1項)としての政治活動の自由は「立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって、民主主義社会を基礎づける重要な権利である」ことから、公務員に対する政治的行為の禁止は「必要やむを得ない限度にその範囲が画されるべき」であり、禁止される「政治的行為」は「公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるもの」に限定されるとしている。
国家公務員の政治的行為についての刑罰規定は本来削除すべきであるが、少なくともこの最高裁判決を受け止めるなら、国公法・人事院規則の罰則規定について、最高裁判決に沿う限定をすることこそ必要なはずであるが、政権与党の動きはない。}
2- 地方自治体をめぐる動向
終わりに
【第Ⅱ部 安倍改憲の争点】
第5章 労働法制改革 (武井 寛)
はじめに
一 成長戦略と雇用 ― キー概念としての「人を動かす」
二 国家戦略特区と雇用問題
三 労働者派遣制度・有料職業紹介制度の見直し
1- 2012年改定
2- 「在り方研」における議論
3- 「在り方」報告
4- 労政審職業安定分科会労働力需給制度部会と派遣法改定案
5- 派遣法改定がもたらすもの
四 ジョブ型正社員
五 労働時間規制の緩和
おわりに
第6章 地方分権改革による地方自治の変容 (榊原秀訓)
はじめに
一 市町村合併による規模と権限の拡大
1- 市町村の規模拡大と「補完性原理」
2- 市町村の規模拡大と「総合行政主体論」
3- 「総合行政主体」論やわが国に特有な「補完性原理」理解の評価
4- 「総合行政主体」論から自治体連携へ
二 自治体における自由の拡大
1- 地方公務員の給与引き下げの強制
2- 義務付け・枠付けの見直し
三 住民自治と議会・住民参加
1- 住民自治と統治構造
2- 直接請求・住民投票と住民参加
おわりに
第7章 安倍政権の社会保障改革と自治体の課題 (伊藤周平)
一 問題の所在―消費税増税と安倍政権の社会保障改革
二 社会保障改革の基本的考え方とその問題点
三 少子化対策―子ども・子育て支援新制度の導入と待機児童対策
1- 子ども・子育て支援制度の本質
2- 子ども・子育て支援新制度の諸問題
3- 子ども・子育て支援新制度の導入で待機児童が解消されるか
4- 「待機児童解消加速化プラン」の問題点と限界
四 医療制度改革―医療提供体制の改革と療養の範囲の適正化
1- 医療提供体制の改革
2- 医療保険制度の財政基盤の安定化と保険料負担の公平の確保
3- 医療保険の保険給付の対象となる療養の範囲の適正化
五 介護保険制度改革―保険給付の範囲の適正化と利用者負担の増大
1- 要支援者の保険給付外し
2- 利用者負担の増大と保険料負担の見直し
六 安倍政権の社会保障改革への対抗運動の課題―むすびに代えて
1- 子ども・子育て支援新制度と自治体
2- 医療・介護保険制度改革と自治体
3- 安倍政権の社会保障改革の本質と憲法25条の空洞化
4- 今後の課題
第8章 安倍教育改革と地方教育行政(丹羽 徹)
はじめに
一 教育委員会制度の変遷
二 現行教育委員会制度の何が問題か
三 教育委員会制度をどのように変えようとしているのか
1- 教育再生実行会議答申
2- 中教審答申
3- 与党合意
四 地方教育行政法改正案
五 問題点は解決できるか
1- 中立性は確保できるか
2- 2006年教基法の具体化
3- 文科省の関与の強化と教育の地方分権
おわりに―地方教育行政はどうあるべきか
第9章 農地管理と農業委員会 (田代洋一)
はじめに
一 農業委員会の性格と業務
1- 行政委員会
2- 組織の系統性
3- 農業委員会の業務
4- 農業委員
二 農地制度の変化と農業委員会
1- 農地移動統制から農地流動化へ
2- 2009年農地法・基盤強化法改正
3- 「人・農地プラン」
三 アベノミクス農政と農業委員会――農地中間管理機構――
1- アベノミクス農政と農地中間管理機構
2- 農地中間管理機構の仕組み
3- 規制改革会議の関与
{・・・ここにみられるのは政策決定過程の根本的な変化である。それは小泉内閣の経済財政諮問会議方式に始まったが、安倍内閣で決定的になった。それまでの農政は良くも悪しくも農水官僚と自民党農林族の合作の面が強かったが、小選挙区制は官邸の力を決定的に強め、加えて小泉内閣当時にはまだ健在だった旧農林族は先の選挙でことごとく落選して官邸に対するストッパーもいなくなり、農業団体も農林族を通じて政策決定に関与するパイプを失った。こうして官邸が選任した規制改革会議等の財界委員の意向を反映させる形で官邸主導の政策決定となり、農水省はその下請けに転じることになった。}
4- 国会における修正
5- 機構(事業)の性格と問題点
四 農業委員会の批判と課題
1- 農業委員会見直し論
2- 転用統制の主体としてふさわしいか
3- 権利移動に関する主体としてふさわしいか
4- 構造政策の推進主体としてふさわしいか
おわりに
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